取り組みの背景
南魚沼市は魚沼コシヒカリ発祥の地。「南魚沼産コシヒカリ」は代々受け継がれてきた米作りの技とたゆまぬ努力により生産されています。
しかし、少子高齢化による農業者の減少や後継者不足といった課題に直面しており、これらが地域経済の衰退を引き起こすことが危惧されています。
近年は、夏の異常高温と少雨による渇水が発生し、農作物の品質低下の危険などが農業者にとって深刻な状況となっています。
このような状況の中、ふるさと納税を通じた寄附金を活用し、渇水対策として冬季消雪用の消雪パイプ井戸等を活用した用水路への補水事業や、地域農業の担い手となる農業者の育成と経営安定を図るため、農業者が整備する農業用機械の購入にかかる経費の一部を補助する事業などを実施しました。
また、南魚沼産コシヒカリの更なるブランド化を進めるための広告や、市内の若手農業者が自ら企画、演出、出演するプロモーションを展開しています。
取り組みの成果・反響
冬季限定で稼働する消雪パイプ井戸等を活用した今までにない渇水対策は、令和5年度の実施後、オペレーションの見直しを行い、令和7年度の渇水時にも地域が一体となって品質保持に取組み、無事に収穫期を迎えることができました。また、農業用機械の補助事業は、応募開始から市内農業者より多数の申請があり、大きな反響を呼びました。
広告展開では、新聞の全面カラー広告、首都圏の駅ホーム柱広告、新幹線搭載冊子の広告掲載を実施し、広く認知度向上を図ることができました。
さらに、若手農業者で制作したプロモーションのショートムービーは、質の高さとインパクトの強さ、若手農業者が実際に出演することで若者世代へ想いが伝わるプロモーションの内容が評価され、(一財)地域活性化センター主催の地域プロモーションアワード2022の動画部門で審査委員賞を受賞したほか、第1回新潟ふるさとCM大賞ではグランプリを受賞しました。
未来への想い・伝えたいこと
南魚沼市は、現在の若手農業者の祖父世代である先人たちの多大なる努力によってコシヒカリの栽培面積を広げ、一大産地へと成長しました。その後、受け継いだ父世代が更なる研鑽を重ねたことで、コシヒカリの美味しさが全国に知れ渡るようになりました。
今、その思いを受け継いだ若手農業者たちは、これからも美味しいコシヒカリを生産して全国へ発信していきたいという強い想いを持っています。
地域が一体となって農業の「今」を守り、その想いをさらに次の世代である市内外の子どもたちや若者たちへ伝え、職業選択肢としての農業の推進、農業を契機とした南魚沼市への移住定住促進や市内各種産業の活性化など、農業全体、南魚沼市全体への効果の波及を目指し、これからもお米のトップブランドとしての誇りを持ち続けられるような取組を力強く進めてまいります。