取り組みの背景
かつて流氷の減少や海洋環境の変化により、弱ったアザラシやケガをした個体が見つかることが増えました。
そうしたアザラシを助けるために、市民や漁業関係者の協力のもと、
1987年に「オホーツクとっかりセンター(現・とっかりセンター)」が設立されました。
ここで“とっかり”とは、アイヌ語で「アザラシ」という意味です。
本来、漁業のまちにとってアザラシはエサを食べる、罠を壊す天敵ですが、紋別市が面するオホーツク海は流氷が運ぶ豊富なプランクトンで漁業が発展している歴史があります。
流氷は氷の上で出産、子育てをするアザラシにとっても大切な存在。
流氷などの海洋環境を守ることはアザラシを守ることに繋がっていたのです。
そこで「オホーツクの流氷と自然を守る寄附条例」を制定し、使途の1つとして「アザラシの保護活動等のオホーツク海の海洋環境に関する事業」を設けアザラシの保護活動などに使わせていただいています。
取り組みの成果・反響
アザラシの保護活動には当然ながら費用がかかります。
市は住民サービスを第一として考えるため、なかなか保護活動に予算をかけられない中、ふるさと納税でいただくご寄附はこの活動を継続させるための大切な財源となっています。
アザラシの日々のエサ代はもちろん、保護個体を検査する機器や入場ゲートの新設や施設の改修に充当させていただいています。
アザラシを見て寄附をしたいと思ってくれる方も多く、子どもや観光客に海や生き物の大切さを学んでもらう、環境教育の側面があったり、「アザラシに会えるまち」として全国から観光客を呼び込む、観光振興の役割の中心を担うなど、今では市にとって欠かせない存在になっています。
未来への想い・伝えたいこと
ふるさと納税で自分が寄附をしたものがどう使われているのか、実感するのは難しいと思いますが、この取り組みは実際に紋別市に来ていただくことで保護アザラシを見る、そこで学ぶ、さらに関心を持つという体験ができます。
この事業を通じてアザラシだけでなく、この先の海洋環境を守ることがオホーツクがもたらす海の恵み、多様な生物、流氷を守ることに繋がるということを知っていただきたいです。
紋別市がアザラシを保護するのは、
オホーツク海の自然と共に生きるまちとして、命を守り、未来へつなぐため。
それは「観光資源」でもあり、「環境教育」でもあり、
何より「この地の象徴を大切にするまちの誇り」なのです。