取り組みの背景
「#ふるさと納税3.0」の取組みを始めたのは、ふるさと納税の返礼品に対する規制、いわゆる地場産品基準が令和元年5月に総務省から発出されたことがきっかけでした。
全国には約1800の自治体がありますが、地場産品の豊富な自治体はごくわずかで、本市も含めて、ほとんどは地場産品が乏しく、規制により公平な環境で競争ができない状況になりました。
そこで、「なければ創ろう!」を合言葉に令和2年から、新たな地場産品(返礼品)を創る事業者を支援する補助金制度を創設し、返礼品造成の強化に取り組みました。
また、令和3年からは、ふるさと納税の取組みに参画しようとする市内事業者を対象に必要となる設備投資や、既存の事業者の事業拡大等にも支援を行うことにより事業者の投資を促進するとともに、人気返礼品の生産量の強化、農業や漁業等の一次産業や、地場産業である泉州タオル事業者への支援を積極的に行いました。
取り組みの成果・反響
当初は、新たな地場産品の創出を目的に取組みましたが、進めるにつれ想定しなかった効果が現れました。
まず、「#ふるさと納税3.0」は、クラウドファンディング(CF)で資金を調達する仕組なので、事業者は寄附を集めないと補助金が獲得できない為、事業者側から次々に新たな提案を持ち込まれるようになるなど、事業者のモチベーションが非常に高くなりました。
次に競争力のある返礼品を提供してくれる事業者が増えました。他の自治体の返礼品を研究し、お得な返礼品を提供してくれるようになるほか、品質向上や小分け対応など、寄附者ニーズを研究した返礼品を提案してくれるようになりました。
最後に、これが一番のメリットと考えていますが、取組みを共に進めていく中で、市の担当者と事業者とのコミュニケーションの機会が増え関係が深まり、共に同じものを目指す「同志」のような関係性が生まれました。
未来への想い・伝えたいこと
昨今、返礼品の産地偽装や還元率オーバーなど、事業者や自治体の違反等により、ふるさと納税制度に批判の声が上がる非常に残念な状況になっており、このままでは、制度の存続が危ぶまれる事態になりかねません。
制度を守る為には、多くの自治体がふるさと納税による恩恵を受けるとともに、地方にとってかけがえのない制度と広く認識してもらうことが必要と考えています。
本市の取組みがメディアに取り上げられ、視察や講演のご依頼を沢山いただきますが、本市は、ノウハウを包み隠さず、全国の自治体や中間事業者に惜しみなく共有させていただいています。
地場産品資源の乏しい自治体には、是非「#ふるさと納税3.0」の取組みに挑戦し、ふるさと納税の取組みを活性化させ、まちを元気にしてもらいと思います。
そして、全国の自治体が「#ふるさと納税3.0」により、公平にふるさと納税に取り組むことができる環境を作っていきたいと考えています。