取り組みの背景
地球温暖化に伴う海水温の上昇や酸性化が進行し、白糠町では過去10年間で総漁獲量が約3割減少、漁獲構成も大きく変化しています。
従来は海の状態を把握せず「獲るだけ、出荷するだけ」の受け身の漁業が主で、資源変動に対応できないまま漁業の先細りが懸念されていました。
こうした危機感から、海中の現状を可視化するために水中ドローン、観測ブイ、スマートフォン向け可視化アプリという「DX3種の神器」を導入。
漁業とデジタルの知見が融合した先進ツールが、課題解決の救世主となりました。
取り組みの成果・反響
海のデータ分析によって温暖化が引き起こす影響を明確に把握できるようになり、白糠の漁業はさらに活性化しました。
時化の状況を陸地からスマートフォンでリアルタイムで確認できるようになり、これまで15%以上あった沖からの引き返しがなくなり、燃料代の削減とともに、脱炭酸につながる地球に優しい漁業を展開できるようになりました。
また、近年急激に漁獲量が増加しているブリを資源として有効活用した「極寒ぶり®」をはじめ、ウニやタラなどさまざまな海産物が白糠発のブランドとして生まれました。
また、日本初の天然ブリの「鮮度保持水槽施設」を町内に設置し、「極寒ぶり®」の幅広い販路拡大につなげています。
全国の漁業関係者も視察に訪れる、時代の一歩前を進んだ「高付加価値」漁業の取り組みがスタートしています。
未来への想い・伝えたいこと
白糠漁業協同組合では新たな水産資源を開拓するため、2022年から4年間の計画で「ホタテの増養殖実証試験」を行っています。
1年目は水深40mで失敗したものの、海の可視化調査で得たデータを元に、2年目は60mで挑戦することに。
稚貝の放流場所に最も適した地形にも見当がつき、まいた稚貝も好調に育っています。
ホタテと同様にシジミの増養殖実証試験・ナマコ生育実験にも取り組んでいます。
また、さらなる環境負荷の低減を目指してブルーカーボンを進めるなど、白糠町はこれらの「一歩前への取り組み」に支援をしています。
皆様からのご寄付は、「一歩前」に進むための推進力につながります。
今後とも変わらぬご支援を心よりお願い申し上げます。